日本の新しいユースホステルデザインコンペティション

課題「日本文化を触媒とした異文化交流空間」

学生対象

日本の新しい宿泊施設のデザインを募集します

2012 Youth hostel World design competition

主催 株式会社国際交流村

受賞作品決定

受賞作品
 



大変沢山の素晴らしい提案があり、審査には当初の計画を超える労力を費やすことになりましたが、それは私にとって予想以上の刺激を受ける楽しいプロセスでした。様々なバックグラウンドを持つ審査委員の方々の知見を活かしながら、優先順位順に次の3つの基準を設定いたしました。

第一はデザインのコンペティションであるので図面の質が一定以上であること、第二は設定されている課題に対する提案があること、そして第三はユースホステルのこれからの顧客ニーズや運営に応える工夫があること。

こういうプロセスを経て優秀賞として「つなぐ空白」を審査委員全員一致で選びました。しかし、多くの力作の中から最後にこれを選んだ決め手は、委員それぞれに違った視点があったと感じています。この作品が私にアピールしてきた要素は、施設を運営する側の創造力と行動力をかき立てる提案であるという点です。中央の「空白」と呼ばれる場所は、空白にしておくわけにはいかない場所であり、運営するスタッフが何か仕掛けていくことを要求される。日本旅の場合には季節感の演出であったり、時間帯によっては付加価値あるサービスであったりと、運営スタッフのおもてなし力が試されます。

そこに、日本文化を軸にしながら、時代の変化に負けない進化の領域が設定されていると感じました。この空白でやってみたいアイディアが私の中でどんどん浮かんできて、「是非運営してみたい」と思わせる提案でした。

優秀賞以外にアイデア賞を2つ選びました。3つの基準で一定以上の評価は得られていなくても、ユースホステルの新しい可能性を感じされるアイディアがいくつかあり、その中から独創的な提案を2つ選び、アイデア賞といたしました。

ユースホステルは、旅行者同士や地元のボランティアとの関わりを通して、双方が互いの国の文化やコミュニティに触れることができる宿泊施設です。ホテルほどドライではなく、ホームステイほどウェットではない、その中間のような場と言えるかもしれません。審査においては、運営の考え方から空間に至るまで、こうしたユースホステルにしか作り得ない魅力を、如何に引き出しているかということを大切にしました。表面的なデザインを超えた、様々な人々の関わり方が見えてくるような空間づくりに惹かれました。一等案は、大きな余白に運営側の個性ともてなしが広がることが大変魅力的です。また、窓周りの縁側的な空間など、様々な性格の違うパブリックスペースを単純なプランに落とし込んでおり、提案者の力量を感じました。

大賞に選ばれた「つなぐ空白」は個室の快適さを担保しながら、宿泊者が出会い・交流するだけでなく、大広間が時間や季節によって様々に変化する様を想像させる提案でした。何もない大きな空間を本当に使いこなせるのかという疑問もありましたが、運営者と利用者が積極的に場作りに関わる新しいユースホステルの在り方の提案であると評価しました。アイデア賞の「寺子屋ゲストハウス」は、昼間、あまり利用されていないユースホステルの空間を利用して、地域の学校として利用するという提案です。宿泊者だけで閉じるのではなく、地域に溶け出していくイメージに好感を持ちました。全体としては、ユースホステルの可能性をひらくとても有意義なコンペだったと思います

こんなユースがあったら、真っ先に泊まってみたい! そう思える作品がほんとうに多かった。旅行者が思わず楽しくなる瞬間をしっかりとイメージしていて、かつ、きめの細かい配慮が感じられた。何度も見るうちに、受付に立って楽しませる側にいる自分までも想像してしまった。旅をすれば気づく事ですが、日本の生活や文化はいまだに知られていない部分が多い。けれども、海外の人々はもっと知りたがっています。だからこそ、日本を地肌で感じられる仕掛けや地元の人々とのつながりは、ファシリティとして必要であってしかるべきです。そして、持続性があるのなら、ユースホステルそれ自体がデスティネーション=旅先として、光を放つことができるのではないかと思います。

発表 / 懇親会

「日本の新しいユースホステルデザインコンペティション2012」
受賞者懇親会
2013 年4 月12 日(金)於 東京ステーションホテル

(では、「あしもとから広がるWA」でアイデア賞を受賞された石塚さんから)

石塚
日本の文化について考えたんですそれで一番最初は、日本人と月について考えていて日本人は月を見てその月ひとつの存在だけでお酒が飲めるじゃないですか。
それがすごいなっていう感覚がありまして、それで、日本の文化をシンプルに考えたときに、そうなんですよね。
それで、月を見てこうやってお酒を飲んだり、月が池に映ってる様子を見て、月を愛でたり、あとはちょっと過ぎてしまいましたけれど、さくらの季節だったら、さくらをみながらお酒を飲めるとか。
そこの生まれつき持った感覚の違いっていうのが凄くおもしろいなと思いまして。
それで今度はインテリアとかについて考えたときに、私はおござだったり、畳だったりはもちろんなんですけど、その神社の空間だったり、京都とかでは特に多いですけど、石畳であったり、そうやって靴を履いた状態でも、足の下で感じる感覚の違いを楽しめるっていうのが凄いなと思って、畳だったり、竹の床だったり、靴を脱いで上がったときの違いは、なんとなく外国でもカーペットとかに上がったときにわかると思いますし、外で靴を履いたときの足音であったり、ぱたぱた、とかコトコトとかゲタの履いた音だったり、そういうのがいいなぁと思ったし、すごく伝えたいなぁと思って今回は特にその床に着目して、その床の足音だったり、足の裏で感じる感覚によって、この質、空間をなんかデザインできないかなと思って、設計しました。
やっぱり京都はまだまだそういう部分が残ってる地なので、紅葉の季節とか最高ですね、普通に観光地化されたところももちろんいいんですけど、そうやって全然観光地にされてない昔から建ってる住宅とか、庭に植わってるさくらだったり、凄くきれいです。
(では「つなぐ空白」で優秀賞を受賞された一万田さん関根さんお願いします。)

一万田
二人でホステルを利用する中で、もちろん問題点もたくさん見えてきましたけど、逆に可能性というか、ホステルという場所は通常ではありえないような種類のコミュニケーションのあり方が、表われる場所かなということは感じていたので。 ただ一方で僕が思ったのは、日本人っていうのは、すごいコミュニケーションがやっぱり下手だなと思っていて、なにかきっかけがないとコミュニケーション始められないっていうのがあって。
外国人同士だと割と、ハローで始まって、たわいもない話しをできるんですけど、そういうとき、なんかこうこちらから話すきっかけとかネタとかそういう動機となるものがなくてはならないと思って、僕たち留学してるときに、外国人の友達とかと仲良くなりたいと思ったら必ず日本食を作ったりとか、あと向うで餅つき大会もしたし、臼を持って来てたし、あと書道、書き初めとかもしていて、こっちから教えることをできて、向こうも知りたがってくれるので、そういう所から始まるコミュニケーションが自然だなと思って、そういう場所にしたいというのは最初からありました。
相部屋になったとき、僕みたいなコミュニケーションが下手な人でも、強制的にではないけど、話したいときには、話せるようなそういう自然な環境を作りたいと思いました。

関根
開いたり閉じたりは割と自由にできるような方がいいなとは思った。

一万田
あとどんなにそのコミュニティールームというか、みんなが集まる部屋を空間的にいい空間になったとしても、そこと寝室が廊下で離れていたりすると、結局の所ベットに入って眠っちゃって、わざわざそっちにいって誰かとコミュニケーションを取りたいと思わないのが実際のとこなので、まぁそこの関係を変えたいっていうのがあって、それでいろいろスタディしていくなかで、夜中の四時が五時くらい、もぅあきらめかけたときにあの形がでてきて、これでうまくいくなって。 (テーマになっている「空白」とよばれる場所は空白にしておくわけにはいかない、運営者のおもてなし力が試される、という審査委員長のコメントがありましたが)
自分たちが運営者だったらどうゆうふうに使いたいかなっていう視点で、あの案を作成していたのもあるし、こうゆうホステルだったらバイトしたりするのが楽しそうだなとか、そういう気持ちを入れてたのもありますけど、やはりヨーロッパのホステルだと、ホステルにクラブみたいのがついていて、夜もクラブで皆が遊んだりして、そういうイベントを運営者側が立ち上げて来て集客を考えている部分もあって、そういうのは日本人の方が上手いというか、工夫していろんなイベントを立ち上げていくっていう、おもてなしっていう言葉を使っていただいてましたけど、そういう可能性があるなと。

猪熊
僕らは普段設計していると、やっぱりどちらかというと本当に運営者が試される、ともすると腕がない運営者の方に依頼される仕事は、もっと作り込んでくれ、もっと作り込んでくれっていっぱい言われるんです不安だから。
余白はやめてくれって、ここを回す自信ないからみたいに、まぁ遠回しに言われるんだけど。こんなんで設計完成させたと思うなって上から目線で言われるんだけど、そういう風に、時には空間でどうやって場を持たせるかってことを考えながらやることもプロジェクトによっては多かったので、このラディカルな案が、なんかこうありなのかどうかは、構成の上手さと、この真ん中の余白と外側にも縁側的な場所があって、そのパブリックにも数種類の場所があるってのがすごいうまいなと思いつつも、真ん中の余白はすごくおもしろいのか、もつのかよくわからないってその、設計側がかえってなんか、運営する人のことを気にしすぎちゃうっていうか、で、迷っていた分があった中で、星野さんが「これは一番運営者としてはワクワクするねっ」というコメントを、そのときに議論しているときにおっしゃっていて、あぁもう運営する人が言ってるんだから間違いないって思って、もうスパット決まったって言うのがあって、なのでそういう意味では本当に、やっぱり今回の審査員の方に運営をする人が入っていて、その人からの目線がいただけたというのが僕らにとってもすごくおもしろかったというか、多分建築家ばっかりいたら成り立っていない空間だ、みたいなことを多分言ったような気がして、それがなんかこう、このコンペの広がりでもあり、本当に良い案をヒュっと見つけられたというか、素直にスパっとそこに。最後はまぁ早かったところでもあるなと思っていて、二人の案も凄くよかったし、僕もなんか参加させていただいてすごく勉強になりました。
ありがとうございます。
(植木さんの視点は旅行者や建築っていうよりもまた違う角度からご覧になった?)

植木
私の旅の原点は、オーストラリアに行って寮に住んで,四角の中に庭があるっていうそういう所にいたんですね。そこはみんなが真ん中に行ってご飯食べたり、話ししたり洗濯物干したりとか、そういうコミュニケーションの場だったんです。そこでお祭りやったりとかイベントやったりとか、誰か来てスピーチするとかみたいなこととかもやってて、あ、なんか真ん中でできるユースホステルっておもしろいよねっていうのは自分の中では結構あった。
世界中、いろんなユースホステル行くと、なんか憶えてるのは、壁とかですね机だったりとか、あとカウンターの奥にいるおじさんとか、お兄さんとか、どうやって呼び込みされたとかそういう記憶なんですね。
いろんなとこありますけれども、なにか触ったみたいなそういうことってすごく記憶に残るじゃないですか、目で見たりとかだけじゃなくて、なんかここに座ったベットだとか、なにかその素材感みたいなとことか、そういうのが凄く記憶に残っていて。
それでやっぱりテーマとして日本文化が、どういうふうにユースホステルで感じてもらえるかということなので、そういった手とか足とか肌で感じるそういう感覚みたいのがすごく大事にされてるな、というものがすごくおもしろいなって。 そういう作品を見て「あ、自分もこういうユースホステルだったらば行ってみたいな」というふうに思った。
(受付に立って楽しませる側にいる自分を想像してしまった、とコメントされていますが…)
旅行者の感覚ってよく分かるんで、こんなことがあったら楽しくて、こんな状態だったらば寂しいだろうなとかですね。
一人一人ベットにすぐ入る、そこからあんまり出てこないとかそういう個室だったりとか、ドミトリィーみたいな広場でも割とコミュニケーションしてない人が居たりとかね。そういうのなんか凄く、そういう場所に居て残念だろうなって思った経験がたくさんあったので、やっぱりこうみんなが参加できるような場所とか、そういったきっかけみたいなものがあることが凄く大事じゃないかなって思ってましたね。
(ユースホステルそのものがデスティネーションになるのでは、とコメントされていますが)
そういう場所があると、そこでイベントがあったりとか、季節感を感じられるものがあったりすると、リピーターとか口コミが広がって、そこを目指してくる旅行者が増えてくると思う。ユースホステル自体がデスティネーションになるというか、そういう形になっていくべきじゃないかなって思いますね。

成瀬
今回審査でおもしろかったのが私と猪熊はビジュアル的な方のプレゼンテーションを見て、最初に図面とかグラフィックを見て、で面白そうなのを探していたのに比べて、お二人は文字の方を読み込んでおられたって言うのがすごく面白くって、私たちは言葉は「二の次か」、ぐらいの、グラフィックがよくできて、さらに文章はどうかなっていうのが、順番が違ったので自分たちが見落としていたものも拾っていただいた所がやっぱ有るなと思って。そこはすごく審査員の構成がよかったなと思って。
最初来たときは本当に意見があまりに違いすぎて、一回で全然決まらなくて、それでみんなで自分たちが良いと思う案をプレゼンして持ち帰って、寝かせてもう一回戻ってくるっていうのができたっていうのが良かったなと、二回目出たときは素直にこの案がいいなっていうのが言えたというのが良かったなって、そういう意味でも凄い良い審査ができたなと。
やはり大賞に選ばれた案はやっぱり、海外に行ったことが凄く大きいんだなと、今日話していても思いました。日本にいて、いろんな日本のコンぺとか参加し続けていると、見落としてしまったかのような凄い潔い良い案だったなと思ってて、他の案も真ん中に大きい空間を持ってるのもあったんですけど、みんなそこはすごい作り込んであったんですよそこは、それに比べて二人の案は、全然そうじゃなくて、どんどんその場所はダイナミックに変わって行くべきだっていう大胆な案が出て来たのはやっぱり二人が海外でいろんな生活をしてきたっていうことの成果だなぁと思って、それはやっぱり置かれる場によって人って発想がこうも変わるのかと思って凄くそれはね結構感動しました。 今日も話していて、それは新潟から京都に行ったことによっても同じ国内でも、あっそれはそうだよねっていうのがあって、やっぱりこう同じ場所にずっといるのもいいかもしれないけど、いろんなところに行っていろんな経験を積むと人間の発想って本当豊かになるんだなって思って、自分もなんか東京にばっかいちゃいけないなぁって、もっと旅をしなきゃいけないなって思いました。
いろんな旅というか場所によって影響を受けるんだなっていうのがわかって、そういう意味でもすごくいいコンぺだったなと思いました。ありがとうござい ました。

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